中小企業で役立つ事務所に必要なセキュリティ対策まとめ

独立・開業時の盲点「デジタル信用の守り方」—AI時代のCEO詐欺から事務所を守る基盤構築とは

事務所の場所が決まり、備品が揃い、名刺が出来上がる……。そんな高揚感の中、意外と後回しにされがちなのが「独自ドメインのメール環境」です。

「これまでの取引や依頼があるから」と、フリーメールやプロバイダーメールのまま営業を始めてはいませんか?ビジネスが軌道に乗ってきた頃、思わぬ瞬間に「信用面」で不安視されるリスクがあるため、実は注意が必要です。

昨今、身近な企業がサイバー犯罪の標的となるニュースが絶えません。もはや対岸の火事ではなく、サイバー攻撃全体の「90%以上」がメールを起点(侵入経路)としているという調査報告もあります。

実際、弊社(OAランド)でも、代表の名前を騙った巧妙ななりすましメールが届く事態が発生しました。かつての「怪しい日本語」の面影はなく、まるで本人が書いたかのような自然な文面。これが、生成AIが悪用される現代の詐欺の実態です。

もちろん、これは弊社代表の不備や管理の甘さによるものではありません。企業の代表者は、HPや活動を通じて名前が公に出るものです。「名前を騙られる可能性」は最初から存在しており、万が一、名前を勝手に使われた詐欺で被害が出てしまえば、本人の責任ではなくとも「信用の失墜」という矛先を向けられかねないのです。

本記事では、独立時に必ず知っておくべき、自分と顧客を守るための「デジタルインフラ」について詳しく解説します。

もくじ

【実態】AIで進化する「CEO詐欺(ビジネスメール詐欺)」とは?

CEO詐欺(BEC:Business Email Compromise)とは、企業の経営者や役員になりすまし、従業員や取引先に偽の指示を送って金銭や情報を奪う犯罪です。 2026年現在、この手口は驚異的な進化を遂げています。

かつては「日本語の不自然さ」で見破ることが可能でしたが、現在は生成AIが悪用されています。日本国内で目立つのは、代表者の権威をかさに着た「威圧的な文面」や、即時の対応を迫る「緊急性の高い指示」によって、従業員や取引先の冷静な判断を奪う手口です。現在はまだ形式的な偽装が中心ですが、今後は公式サイトの「代表挨拶」やブログなどをAIに学習させ、代表者個人の「話し方のクセ」や「好んで使う専門用語」まで再現する高度ななりすましが国内でも発生することは容易に予想されます。

判別が非常に困難なフェーズへ移行しつつあるからこそ、まずは「こうした事態が起こり得る」という事実を正しく認識することが不可欠です。

なぜ「代表者の名前」で偽メールが届くのか?注意すべき2つの手口

攻撃者は、企業のホームページから代表者名や役員名、プロジェクト関係者の情報を収集し、巧妙にコンタクトを図ってきます。特に注意すべきは、以下の2つのパターンです。

表示名の偽装(もっとも多いケース): メールの「送信者名」だけを代表者の名前に書き換える手口です。Outlookなどのメールソフトでは、一見すると「〇〇代表」や「〇〇役員」と表示されますが、メールアドレスの詳細を開くと、全く関係のないフリーメールアドレスになっていることが大半です。

類似ドメインの悪用: 組織のドメインと一文字だけ違う(例:lを1に変える等)類似ドメインを取得して送るケースです。パッと見ただけでは本物と区別がつかず、関係者からの連絡だと誤認させる手法です。

まずは「送信者名ではなく、メールアドレスそのもの(@以降)を確認する」ことを組織内のルールとして徹底する必要があります。

「安価な構築と放置」のリスク:ドメイン、メール、Webサイト

起業時に「初期コストを抑えること」を優先し、構築したホームページやメール環境を数年間メンテナンスせずに放置している状態は、サイバー犯罪者にとって「鍵のかかっていない家」と同然です。特に以下の3点は、企業の信用を根底から揺るがすリスクとなります。

① メール認証(SPF・DKIM・DMARC)の未設定と放置

メールの送信元を証明する「SPF」「DKIM」「DMARC」という3つの設定は、現代のビジネスインフラにおいて不可欠です。これらは「承認されたサーバーか(SPF)」「電子署名があるか(DKIM)」「認証失敗時の処理(DMARC)」という3段階で本人性を証明する仕組みです。これらが未設定だと、自社の名前を騙った詐欺メールが相手に届くリスクを放置するだけでなく、自社が送った正当なビジネスメールさえも相手の「迷惑メールボックス」に振り分けられたり、受信拒否されたりするという、重大な機会損失を招く恐れがあります。

  • DKIM等の未対応: 古いサーバーを使い続けている場合、デジタル署名(DKIM)に対応していないケースがあります。
  • 通知の無視: サーバー会社からの「セキュリティアップデート」や「認証設定の変更」に関する通知を、内容がわからないからと放置した結果、自社のメールが「なりすまし」と判定されやすくなり、攻撃者に悪用される隙を与えます。 自社のドメインが「本物であることを証明する設定」を欠いていることは、取引先に対して偽造メールを送りやすくさせていることと同じです。

② WordPressの脆弱性と「詐欺の踏み台」化

多くの企業が利用するWordPress(ワードプレス)ですが、「作って終わり」のままアップデートせず放置し続けることは極めて危険です。WordPressは世界シェアが圧倒的に高い分、攻撃用のツールが広く出回っており、常にサイバー犯罪者の標的となっています。

「サイトが表示されているから大丈夫」と安心している間にも、裏側で動作するPHPのバージョンやプラグインの脆弱性は放置され、海外からの総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)にさらされ続けています。

ひとたび管理画面への侵入を許せば、自社サイトが書き換えられるだけでなく、他社を攻撃するウイルスの配布元やフィッシング詐欺の「踏み台」として悪用され、知らないうちに自社が「犯罪の加害者」として取引先を危険にさらす実例が後を絶ちません。

  • ブルートフォース攻撃: ログインURLが初期設定のまま(例:/wp-admin/)であると、総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)の標的になります。試しに、お知り合いのWebサイトのURLの末尾に「/wp-admin/」と入力して実行してみてください。もしログイン画面が表示されたら、それは世界中の攻撃者に対して「ここが私の家の玄関です」と教えているのと同じ状態です。ログインURLが初期設定のままだと、海外からの機械的な総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)の標的になり、管理画面への侵入を許すリスクが跳躍的に高まります。
  • 改ざんと踏み台: 知らぬ間に管理画面へ侵入され、サイト内のリンクを書き換えられたり、フィッシング詐欺の「踏み台(中継拠点)」として悪用されたり、「トロイの木馬」などのマルウェアの置き場にされている事例が実際に発生しています。 自社サイトが攻撃の被害者になるだけでなく、加害者として取引先を詐欺サイトへ誘導してしまうリスクがあることを認識しなければなりません。

③ サポート切れソフトの使用による情報漏洩

  • Outlook 2016等のリスク: 長年利用されてきたOutlook 2016などは、2025年10月にすべてのサポートが終了しています。 脆弱性が放置された古いソフトを使い続けることは、メールの内容を盗み見られたり、アカウントを乗っ取られたりするリスクを飛躍的に高めます。

起業家・経営者として、安全なデジタル環境を維持することは、単なるITの問題ではなく「対外的な信頼を守るための義務」であると言えます。

具体的事例:組織を襲う「3つの代表的パターン」

経営者や関係者の信用を悪用する詐欺には、典型的なパターンが存在します。

【振込先変更詐欺】 取引先や関係者になりすまし、「弊社の振込先口座が変更になりました」と偽の請求書を送りつける手口です。代表者の名前で送られたように見えると、受取側は疑わずに振り込んでしまうリスクがあります。

【極秘ミッション型】 代表者や役員になりすまし、「極秘の案件が発生した。至急、指定の口座に手付金を振り込んでくれ」と事務担当者に指示するパターンです。

【システムトラブル型(フィッシング)】 「メールサーバーの不具合により、再ログインが必要です」と偽の画面へ誘導し、役員や従業員のIDとパスワードを盗み取ろうとします。

被害を防ぐためのチェックリスト:技術とルール

詐欺を未然に防ぐには、技術的な対策と、組織としての運用ルールの両方が必要です。

【技術的対策】

  • Google Workspace または Microsoft 365 の導入 :
  • 強力なフィルタリング機能を持つクラウド環境の利用を強く推奨します。ビジネスにおいてフリーメールを使い続けることは、セキュリティリスクだけでなく「正式なビジネスとして運営されているのか」という信頼性の欠如を取引先に抱かせる要因にもなり得ます。
  • 独自ドメインメールの適切な運用: 信頼性の高い独自ドメインに対し、SPF/DKIM/DMARCなどの認証設定を完備しましょう。設定が正しいか不安な場合は、専門家に頼るか、現状のドメイン名を指定してAIに確認手順を尋ねてみるのも有効な手段です。
  • 常に最新のソフト・システムの利用: サポート期限の切れた古いソフトは、即座に最新バージョンへアップグレードしてください。操作感の変化に戸惑うかもしれませんが、「使い慣れた操作性」と「取引先からの信頼」、経営者としてどちらが失いたくないものかを再考してみましょう。
  • Webサイトの入口対策(WordPress等):ログインURLを初期設定(/wp-admin/)から変更し、不要なプラグインを削除してください。「掲載されているから安心」という状態は、裏を返せば「攻撃され続けている」状態だと認識し、PHPなどの基盤プログラムも常に最新に保つ必要があります。

【運用のルール】

送信元アドレスの「詳細」を確認する習慣 メールソフトの表示名(名前部分)だけを信じず、必ずメールアドレス本体(@以降のドメイン)を確認してください。代表者や役員を装うメールの多くは、詳細を開くと全く無関係なアドレスから送られています。

違和感(威圧・急かし)を無視しない 「極秘の案件なのですぐに振り込んでほしい」「代表の私から直接頼んでいる」といった、通常の業務フローを無視した威圧的、あるいは緊急性を煽る連絡には特に注意が必要です。これらは冷静な判断を奪うための典型的な詐欺の手口です。

「別ルート」での確認を徹底する 「振込先の変更」や「至急の送金指示」が届いたら、そのメールに返信するのではなく、電話やチャット、あるいは直接本人に口頭で確認をとる「ダブルチェック」を社内ルールとして徹底してください。

サーバー会社等からの通知を「放置」しない セキュリティアップデートや認証設定(メール認証やに要素認証など)に関する通知は、内容が難しく感じても放置せず、専門家やAIを活用して速やかに対応を確認してください。放置された「隙」こそが、攻撃者の最大の狙い目です。

OAランドが提案するデジタル基盤の構築

OAランドのサービスは、単なるオフィス家具やコピー機の提供にとどまりません。起業時における「デジタルインフラ」の側面からも強力にバックアップします。

安全なドメイン・HP管理: セキュリティ設定を完備したWebサイトの構築・運用を支援します。

セキュアなメール環境の構築: 最新のクラウド環境への移行・セットアップを代行。経営者が本業に集中できるよう、安全なインフラを整えます。

ワンストップの支援: 物理的なオフィス空間と、目に見えないデジタルの守りを一括でお引き受けします。

「デジタルの脆弱性は、企業の信用問題に直結する」――。 客観的なリスクを把握し、適切な対策を講じるパートナーとして、OAランドが貴社の基盤を支えます。

士業に特化したWEBサイト制作、得意です。

OAランドではオフィス作りだけではなく、士業のWEBサイトを専門的に制作する「スマウェブパック」をご用意しております。

スマホ対応の最先端デザインテンプレートを豊富に用意しており、お客様だけのオリジナルホームページをご用意いたします。

もちろん、独自ドメインからサーバー、メール手配まですべてパッケージ化されておりますので、個別にお客様がなにかを申し込む必要はありません。

窓口は当社だけで、オフィス作りサービスと合わせてご利用いただけます。


スマウェブパックを詳しく見る

Arrow
Arrow
Slider